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福岡地方裁判所 昭和57年(ワ)606号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件の請求原因の要旨は、次のとおりである。

「1 原告は、昭和五二年一二月八日福岡県知事に対し「福岡県貸金業届出及び調査に関する規則」により貸金業開始の届出をなしこれを受理された者であるが、福岡県知事は、右届出を受理するに際し、「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」(以下「出資法」という。)により利息は日歩三〇銭までは許される旨教示しているが、最高裁判所の判例により、法的には利息制限法所定の利率をこえる利息は取ることができないのであるから、福岡県知事は、右を知らない貸金業者が不測の被害を被ることがないよう貸金業開始の届出を受理する際は右の旨の行政指導をなすべき義務を有していたのにこれを怠つた。

2 原告は、被告国に対し、昭和五四年九月一〇日付請願書により、出資法と利息制限法が矛盾する法律であることを指摘して請願したのであるから、被告国は、右請願書記載の趣旨に則して、出資法及び利息制限法の定める最高の利率が同一となるよう、右二法のいずれか又は双方を改正すべき義務があつたのにこれを怠つた。

3 原告は、右1及び2のために、原告が他に貸し付け、返済を受けることができなかつた金員相当額等の合計三三四八万円の損害を被つた。

よつて、原告は被告ら各自に対し、右三三四八万円の内金一七〇〇万円の支払を求める。」

【判旨】

一(「事実」欄一の1記載の原告の主張について)

福岡県知事が、出資法、「貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する政令」(昭和二九年政令第一六〇号)及び「福岡県貸金届出及び調査に関する規則」(昭和五〇年福岡県規則第七三号)に基づき、貸金業開始届を受理する際右届出をなした者に対し又は右届出をしようとする者に対し、利息制限法の規定及び同法に関係する判例の内容につき行政指導をなすべき法令上の根拠は何ら存せず(貸金業を営む者あるいは営もうとする者にとつて、利息制限法の規定及びこれに関連する判例の趣旨を知つていることは当然予想せられることに照らしても右の行政指導をなさないことは不当とも言えない。これは、福岡県知事が、貸金業を営む者又は営もうとする者に対し、これらの者が犯罪を犯すことがないよう、出資法により年109.5パーセントを超える利息の契約をすると処罰される旨を注意喚起の趣旨で教示していたとしても変るところはない。)、その余について判断するまでもなく原告の主張は主張自体失当である。

二(「事実」欄一の2記載の原告の主張について)

刑罰をもつて禁止すべき金銭貸付の利息の利率と私法上保護べき金銭貸付の利息の利率をどのように定めるかは立法の裁量にゆだねられており、国会が右二つの利率を同一とするよう出資法又は利息制限法の一方又は双方を改正すべき義務があることを前提とする原告の右主張はその余について判断するまでもなく主張自体失当である。

(なお、原告は、昭和五四年九月一〇日付請願書による請願法に則つて処理されなかつたことを被告国に対する損害賠償請求権発生の根拠事実として主張するかのようにも見えるが、原告主張事実を認めるに足りる何らの証拠もない。仮に、右主張事実が認められるとしても、その事実により原告主張のような損害が生ずるとはとうてい認められず、いずれにしろ右主張も失当である。) (水上敏)

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